翻訳研究室<< | |||||||||
|
|||||||||
第3回 編集機能を使う-- 中間編集でおかしな訳文を直そう --訳語の変更とユーザー辞書の登録がスムーズに出来るようになるまでは、先に進まないで下さい。 基本操作説明●出力文の修正方法お気づきのようにMTの出力文はまだまだ不完全です。どうしても人間が手を入れる必要があります。 手の入れ方は大きく分けて次のようになります。 (1)出力文に直接手を入れずに、対訳エディタの編集機能を使って修正する(この講座では「中間編集」と呼んでいます)。 いきなり後編集するよりも、「中間編集」をして出力文を整えてから「後編集」する方が効率がずっと良くなります。 「中間編集」とはMTが訳語の選択、品詞解析、構文解析に失敗した部分を人間が補ってやることです。 ●中間編集で使う機能 「中間編集」では主に次のような機能を使います。 - 訳語変更 この中で、「訳語変更」と「辞書登録」はすでにマスターしていますので、残りの3つを見て行きます。 ●品詞変更 MTは、動詞を中心にして構文解析を行います。ですから、本来動詞であるべき単語が名詞など他の品詞と取り違えられていると、とんでもない訳が出力されてしまいます。 操作は訳語変更と同じです。訳語を選ぶ代わりにリストの下の方にある((品詞変更))をクリックします[図1]。 [図1]次に表示される品詞リストから正しい品詞を選んでクリックすると、自動的に再翻訳されます。[図2] [図2]●文分割 MTは長い文章が苦手です。 文分割は、操作は簡単ですが大きな効果があります。ただし、分割するときにじっくり読み込んでいると時間がかかるので、できるだけ形だけを見て分割するようにしてください。[図3] [図3]操作方法は、分割したい単語の後ろにカーソルを置いて「Enter」キーを押すだけです。もし、間違って分割してしまっても、分割された前半の文であれば文の末尾にカーソルを置いて「Delete」キーを押します。後半の文の場合は文頭にカーソルを置いて「Back space」キーを押せば元通りになります。 ●フレーズ指定 MTは修飾語句の係り受けをよく間違えます。 指定方法は簡単です。フレーズとしてひとかたまりにしたい部分を選択し、メニュー・バーの「フレーズ」ボタンをクリックするだけです。[図4] [図4]さらに、フレーズの品詞を指定したい場合は、「翻訳」プルダウン・メニューの「フレーズ種別」にカーソルを合わせると一覧が表示されるので、その中から適当な品詞を選択(クリック)します。 実際には、これらの機能を効率よく組み合わせて中間編集して行きます。 これまで原文の取り込み、保存、辞書登録、中間編集とやってきました。純粋に翻訳ソフトの基本的な操作方法といえばここまでです。しっかりとマスターしてください。 ●次の例文をポケトラエコにコピー・アンド・ペーストで取り込んでください。 ★一次出力です。できるだけ頭から訳し下ろすようにしてみましょう。 efficient=効率的な(訳語変更)、industrial plant=工場(辞書登録)、 domestic=自国の(訳語変更)、competitors=競争相手(訳語変更)、 ★前から訳し下ろすためには、文分割が最も有効です。 この文で一番区切りのいいのはbecauseの前です。becauseの前にカーソルをおいて「Enter」キーを押します。 ここで再翻訳すると最初の文は、 と出力されます。一次出力と同じじないか、と思われるかもしれませんが、こうすることによって、簡単にこの訳文を前に持ってくることができるのです。 次の文の中で、 となっていますが、inの係り受けがおかしくなっています。この訳では、in the United States, Western Europe and Asiaがthreatening という動詞に係っています。本当はその前のdomestic competitors を修飾しています。 ★このような係り受けの間違いを修正するためには、フレーズ指定を使います。 the future of domestic competitors in the United States, Western Europe and Asiaを選択(反転表示)して、ツールバーの「フレーズ」ボタンをクリックします。 再翻訳すると、「アメリカ合衆国、西ヨーロッパとアジアの自国の競争相手の将来」となりました。 *実は、最初の文「a barrage of protests and complaints from nations across the world (世界中の国から抗議と不平の集中攻撃)」のfromの係りうけも間違っているのですが、とりあえずこのままにしておきます。 ★中間編集済みの出力文はこのようになります。 ●もう1つやってみましょう。次の例文をコピー・アンド・ペーストでポケトラエコに取り込んでください。 ★一次出力です。分詞構文をどう処理するかがポイントになります。 ★とりあえず分詞構文のところで分割してみます。 この場合withがありますが中間編集にはじゃまなので、withの前後で分割して、withは無視します。 ★訳語変更をします。 scope=領域、radically=根本的に、space=「名詞」に品詞変更して訳語を「宇宙」にする、attention=注目 ★中間編集出力は次のようになります。 上記のように分詞構文の部分の訳文が不自然ですが、より後編集しやすくなったと言えます。 次の例文をコピー・アンド・ペーストでポケトラエコに取り込んでください。 ★一次出力です。このようなニュース記事はとにかく意味の塊ごとに分割してしまいます。 ★ニュースでは、「誰それがこう言った」という構文が多いのですが、とりあえず分割で対処します。 Some saidの後ろにカーソルを置いて、「Enter」キーを押します。 ★あとは、前置詞、接続詞を目印にみじん切りにします。 in light ofの前、that foreignesの前、and wouldの前で分割します。 結局5つの文に分割しました。 ★訳語の変更、登録 some=何人か(訳語変更)、press=差し迫る(登録)、Tokyo Governor=東京都知事(登録)、Shintaro Ishihara=石原慎太郎(登録)、remark=コメント(訳語変更) ``heinous''のクオーテーションマークが構文解析を邪魔しているようなので削除します。 ★中間編集出力はこのようになります。 このようにこまかく分割した出力文は、後編集の際に必要な語を補ったり、不要な表現を削除したりして再びつなげます。
練習問題ここで一旦「一次出力」という名前を付けて保存します(ポケトラエコ形式)。 次に、腕によりをかけて中間編集をしましょう。 出来上がったら「中間編集」という名前を付けて保存します(ポケトラエコ形式)。
|
|||||||||
|目次|第1回|第2回|第3回|第4回|第5回| |
Copyright@2006 Seiichi Komuro All Rights Resered.